P | 急に呼び出して悪かったな、莉緒。 |
莉緒 | ううん、私も、ちょうど |
プロデューサーくんと話がしたかったの。 |
P | 黒井社長について、高木社長から聞いてきたよ。 |
まだ、移籍のオファーをしに来ているのか? |
莉緒 | ……ええ。 |
P | あらためて調べてみたけど、あそこは本当に、 |
目的のためなら何でもやるような事務所なんだ。 |
P | そんなところに行っても、 |
莉緒のためにはならないと思う。 |
莉緒 | 私のため……ね。そうやって心配してくれるののも、 |
すごーく嬉しいんだけど……。 |
莉緒 | ねえ、Pくん? |
キミの意見を聞かせて。 |
私に……行ってほしくない? |
P | 当然だ! 莉緒を失うわけにはいかない。 |
莉緒 | でもそれは、私がARRIVEのメンバーで……今から |
売り出す予定の、ユニットの一員だからでしょ? |
P | 関係ない。莉緒を引き止めるのは、 |
俺にとって莉緒が、大切な存在だからだ。 |
莉緒 | えっ。……えええええっ!? |
ち、ちょっと、プロデューサーくん!? |
P | 莉緒をトップアイドルに導くのが、俺の仕事だ。 |
莉緒は、俺の大切なアイドルだからな。 |
莉緒 | 俺の、って……も、もう〜! |
そんな言い方、誤解しちゃうじゃないの……。 |
それに……そんな熱烈なラブコールで引き止めて |
くれなくても、私、移籍したりしないわよ? |
P | え? 莉緒……黒井社長のスカウトに |
気持ちが揺れてたんじゃないのか? |
莉緒 | んもう、違うわよ! まぁ『すべての週刊誌の |
グラビア』にはグッと来ちゃったけど。 |
P | (黒井社長……そんなことを言っていたのか……) |
莉緒 | 私は、黒井社長の言ってたセクシーユニットを、 |
765プロでできないかしら?って考えてたのよ。 |
莉緒 | エレナちゃんのポテンシャルなら、いけると思うの! |
でも未成年だし、そういうのは良くないかな〜って。 |
なんとかして実現的ないか、昨夜もいろいろ考えて |
みたんだけど。難しいのね〜、プロデュースって。 |
P | あ、昨日の帰り際に行ってた用事って、もしかして |
それを考えることか? 俺はてっきり……。 |
莉緒 | もうっ、私のコト信用してなかったの? |
ヒドいわ、プロデューサーくん! |
P | す、すまない。なんだか深刻そうだったから、 |
ちょっと早とちりしちゃったな……。 |
莉緒 | フフッ。でも半分正解よ? 私のコトよく見てるのね。 |
ちょっとだけ不安を感じてたのは、ホント……。 |
P | 莉緒? |
莉緒 | ワタシ、劇場メンバーの中では年上の方でしょ? |
自分に自信がなかったわけじゃないんだけど……。 |
莉緒 | みんなを見てたら、思っちゃったの。アイドルとして |
デビューするの、ちょっと遅かったのかしら?って。 |
P | そんなことはないと思うけど……。 |
莉緒 | だってだって〜、みんなお肌ピカピカなんだもん! |
スベスベのツヤツヤなのよー!? |
どんなに気を遣ったところで、10歳には勝てない! |
あれに勝てるのは赤ちゃんくらいよ!? うわーん! |
P | いや、育には勝たなくていいんじゃ……。 |
というか、莉緒だって充分綺麗じゃないか。 |
他のみんなに全然負けてないぞ? |
莉緒 | ………………………。 |
ホント? |
P | もちろん! 俺は、そういう莉緒の魅力を信じて、 |
プロデュースしてるんだ。 |
莉緒 | そうね……私もPくんとふたり、 |
一対一のときは気にならなかったのよね。 |
ただ、ユニットを組んで、みんなと一緒になって……。 |
初めて、気づいちゃったの。 |
プロデューサーくんは、私だけじゃなくて、 |
みんなのプロデューサーくんなんだ……って。 |
莉緒 | そしたらね、エレナちゃんや他の子達と比べたら…… |
って、なんだか、どんどん不安になってきちゃって。 |
P | 莉緒……。 |
莉緒 | ごめんね、めんどくさいこと言っちゃって! |
勝手に落ち込んで、寂しがって、バカみたいよね? |
P | いや……不安にさせたのは、俺の落ち度だよ。 |
すまない。けど、安心してほしい。 |
たとえ何があっても、俺は莉緒のプロデューサーだ。 |
誰よりも莉緒の魅力を知ってる、そう自負してるよ。 |
莉緒 | プロデューサーくん……。 |
ありがと。 |
莉緒 | ……うん。いろいろ吐き出したらスッキリした! |
そろそろ行きましょ? 私達の劇場に、ねっ。 |
黒井社長 | おやおや。まさかこんな場所で会うとは…… |
765のミジンコプロデューサーだったかな? |
P | 貴方が、黒井社長……! また莉緒をスカウト |
するために、待ち伏せしていたんですか? |
黒井社長 | もちろんだとも。彼女の才能は961で開花するのだ。 |
さあ、百瀬莉緒くん、行こうじゃないか。 |
莉緒 | 行かないわ。 |
黒井社長 | 何……? いや、よく聞こえなかったんだが。 |
莉緒 | あんたの事務所になんか絶対行かないって言ったのよ! |
私はプロデューサーくんのアイドルだもの! |
黒井社長 | なんだと? この私の誘いを断って、 |
この業界で生きていけるとでも思っているのかね? |
P | 妙な手出しなんかさせない! 莉緒は765プロの |
大事なアイドルだ。絶対に守ってみせる! |
黒井社長 | 何が守ってみせる、だ。 |
ミジンコレベルの分際で大口をたたきおって! |
いいだろう! ならばお前達は、 |
この私が全力でつぶしてやる! 覚えておけ! |
莉緒 | 行っちゃったわね……。 |
P | ああ。黒井社長が、これからいろいろ |
仕掛けてくるかもしれないけど……莉緒。 |
莉緒 | 大丈夫よ。ARRIVEを、どんな妨害にも負けない |
強いユニットに育てましょ! 私達みんなで、ね♪ |
P | ああ! |
莉緒 | あら? 何よ、みんな総出でお出迎え? |
貴音 | 百瀬莉緒……よからぬ噂を耳にしたものですから。 |
心配しておりました。 |
莉緒 | もう、みんなして! 私を信用してよね? 嫌がらせ |
するようなヒドい事務所、行くワケないでしょ! |
ロコ | でも、リオからダウナーな空気を感じました。 |
何かセンシティブな悩みがあったんじゃ……? |
莉緒 | うふふっ、ナ〜イショ♪ |
大人のお姉さんには、いろいろあるのよ♪ |
エレナ | っ……リオっ! |
う、うわあああああん! |
リオのバカー! バカバカバカー!! |
莉緒 | きゃっ!? え、エレナちゃん……? |
エレナ | 黒井シャチョーのトコロに行っちゃうのかと |
思って、心配したヨ……うう〜……。 |
ワタシのことキライになって、それで961プロに |
行っちゃうのカナって……不安だったヨ〜……。 |
莉緒 | エレナちゃん……そんなに不安にさせちゃったのね。 |
ごめんなさい、私ったら自分のことばっかり……。 |
私、エレナちゃんに勝てるところがなくって、 |
力不足なのかな?って落ち込んでたのに。フフッ。 |
エレナ | 力不足? ……なんで? |
全然、そんなことないヨっ! |
この前のイベントで音が消えちゃったとき、 |
ワタシどうすればいいか、全然分からなかった……。 |
エレナ | リオがいなかったら、きっと失敗してた…… |
ワタシ、リオにいっぱい助けられてるんだヨっ! |
莉緒 | エレナちゃん……。 |
そっか。私、ちゃんと役に立ててなんだ……。 |
エレナ | ワタシ、リオと競争するの、好きだヨ! |
だからリオと一緒にいたいノ! |
イチバン近くにいる、ライバルになりたいノ。 |
ライバルだけで、仲間で友達なノ。そうでショ? |
莉緒 | ……フフ。そうね、そうよね! |
私達は、仲間でライバル。そういう関係よね。 |
なんだかスッキリしちゃったわ。 |
これからもよろしくね、エレナちゃん♪ |
エレナ | うん! |
貴音 | ふふ。私と、みちこも分かり合えたのです。 |
きっとふたりも、理解を深めることができましょう。 |
ロコ | イグザクトリーです! |
ロコはみちこじゃないですけど! |
可憐 | みんな……よ、よかった……本当に……。 |
これで、安心ですね……。 |
莉緒 | 可憐ちゃんには、すごく心配かけちゃったわね。 |
でも、私達を支えてくれてありがとう、リーダー! |
可憐 | は、はい……! |
で、では、心配事がなくなったところで……。 |
ら、ライブの本番……。 |
みんなで、最高の舞台にしましょう……! |
莉緒達 | おーーー!! |
P | (黒井社長の妨害で、ARRIVEの結束は逆に |
高まった! あとは、本番を迎えるだけだ……!) |
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